機械数理工学科

学科長の挨拶

機械数理工学科へようこそ

機械数理工学科学科長 北 直泰

 

大学生になると活動の色合いが「勉強」から「研究」へと変化していきます。平易な言葉を使えば、勉強とは先人が編み出した知識や技術を理解する作業で、研究とは後の人々に伝えるべき知識や技術を生み出す作業です。

 では、研究で必要な心がけは何でしょう?私からの助言として、まず、この社会を見渡して不便に思うことを探して下さい。そして、その不便を解消するために何が必要か?何を学ぶべきか?どんな技術を編み出すべきか?自分の結論を見出して下さい。不便が見つからない人は、目線を変えましょう。自分が病気だったら?自分が高齢者だったら?自分が日本語を知らない旅行者だったら?…社会に潜む不便が多々見つかりそうです。

 現在、熊本市が抱える不便の1つに「渋滞問題」があります。通勤・帰宅時間に通町筋から伸びる大通りが渋滞して、運転者の時間を奪っています。渋滞を解決するために、車が空を飛べるようにすれば…と思えたら、あなたは工学のセンスの持ち主です。

 さて、車を宙に浮かせるにはどんな知識や技術が必要でしょうか?きっと機械工学・流体工学・航空工学の勉強が必要になるはず。エンジン開発では熱力学の知識も活用します。空中では急停止できないので、自動運転の機能が欲しいところ。すると、センサー技術や通信技術、AI制御の知識が必要です。事故を起こしても運転者を守るために、衝撃に強いor衝撃を吸収する素材開発も必要。車検時に車の疲労箇所を非破壊検査する技術も必要です。研究手法を変えて、トンボやハチドリの動きから空中浮遊を解明するのも良いでしょう。

 車を飛ばす方法が固まったら、次にコスト削減を考えます。物事を最適化するには、数学の知識やコンピュータープログラミングの技能が必要です。

 渋滞問題の他にも高齢化問題、環境問題、エネルギー問題があります。加えて、医療サービスの広域化、宇宙空間への進出、暗号資産の管理・運用…我々の社会は先へ先へと歩み続けます。機械数理工学科には、社会問題や社会の営みを研究できる場と、皆さんの行く末を指南できるスタッフがそろっています。機械数理工学科でともに未来を創造しましょう。