材料・応用化学科

西山吉本研究室・吉本グループより論文が掲載されました!

西山・吉本研究室よりAngew. Chem. Int. Ed.に論文が掲載されました!

~著者による論文概要の説明~

 本論文はミセル注1型カプセルを利用した難溶性のナノグラフェン分子の水溶化と,基板上へ高配向組織化膜の作製を可能にする「分子コンテナ法」の開発に関する報告です。ナノグラフェンは有機半導体や分子デバイスの材料として期待されていますが,あらゆる溶媒に不溶であるため基礎物性の十分な理解が進んでいませんでした。「分子コンテナ法」は,親水性と疎水性の両方の分子構造を有するミセル型カプセルを分子コンテナとして利用するもので,分子間にはたらく相互作用を利用して不溶な分子をカプセル内に取り込み,その分子を基板上に輸送し基板上で高配向に組織化させる(規則正しく並ぶ)ことで分子膜の作製を可能にしました。さらに,電気化学走査型トンネル顕微鏡を用いることにより,本手法で金電極表面に作製したナノグラフェン分子膜の分子スケール解像に世界で初めて成功しました。
 本研究で見出した「分子コンテナ法」はさらに巨大な構造を有する分子群にも適用が可能であり,物性の解明をはじめ分子の精密設計により分子サイズの導電性配線,新しい電池材料や有機半導体への展開が期待されます。さらに本手法は生体や環境への影響が懸念される有機溶媒を用いる必要がなく,実験者のみならず地球環境へも優しい新技術としても注目されます。


~論文へのリンク~

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201809258