教員特集

『高温強度』と『材料特性』、
素材がもつ可能性を見極め、未来へと繋げる

Fumiko KAWASHIMA
川島 扶美子
准教授
工学部 機械数理工学科
PROFILE
1988年 熊本大学教育学部附属中学校卒業、1991年 熊本県立熊本高等学校卒業、1996年 東京大学工学部機械工学科卒業1998年 東京大学大学院工学系研究科修士課程 機械工学専攻 修了、同年 (株)三菱重工業へ入社。2008年 熊本大学大学院自然科学研究科 博士後期課程 産業創造工学科 修了、2011年(株)三菱重工業退社。同年4月に熊本大学大学院自然科学研究科へ採用

マンパワーを生かした 
長期試験が大学の強み

 モノづくりの根元となる機械要素技術が様々な分野で応用できるよう研究に取り組んでいる川島 扶美子准教授。とくに力を入れているのが『高温強度』で、金属が高温でどのような強度を示すかの研究を行っています。「具体的には650℃の高温に金属を加熱して荷重をかけ続ける『クリープ試験』というもので、試験機に金属(ハガネ)を固定し、重りで荷重をかけてハガネを引っ張ったまま炉で加熱します。温度と時間を測りながら破断、つまり損傷が生じる過程を観察しますが、たとえば50%、75%、90%の状態を比較したい場合、破断まで3カ月だとすると1.5カ月経過した時点で実験を止めてカットすれば、50%の損傷が生じた断面を観察できるわけです」

 とくに川島准教授のもとでは、学生による協力のもと、マンパワーを生かした試験を行っているのが特徴です。「「2メートル四方程度のシート状になった金属組織写真に現れる損傷を手作業で数えてもらうとか。人手がないと出来ない大量な観察をもとにデータを集めています。学生たちは苦労していますよ、構内の廊下に大きなシートを広げて地道な作業ですから。ですが、こうした研究結果によって、損傷が見つかった場合に残り何年もつかを予想できるようになります。これまでに火力発電所で『TypeⅣ(フォー)損傷』と呼ばれるクリープによる損傷事故がたびたび起きていますが。同様の事故が発生した場合の判断材料として役立つことを目指しています」

モノを設計・製作する基礎を 
身につけ、幅広い分野で活躍

 もう一つ取り組んでいるのが、『ゴムの材料特性』の研究です。「金属の場合、変形と荷重の関係性は知られていますが、ゴムはこれと断言できる結果が見つかっていません。どういう力でどのように変形するか。或いは、どんな変形によってどのような力をもたらすか。そもそもゴムは劣化しやすい材料ですから劣化試験も合わせて、半年から1年がかりで研究を行います」。これらの結果から分かるのは、使用条件による耐久性。身近なものではタッパーなどのパッキンや防振材の性能改善などが期待できます。

 ちなみに川島 准教授が学部で教えているのは、『材料力学』と『設計製図』。また『機械工学実験』の授業では、引張試験を学生に実習させています。実験機を使い、ハガネに室温で引張り負荷をかけ、金属の力と変形の関係を理解します。「1年次の『材料力学1』では、たとえば金属の軸をねじるときに長さや直径をもとにある角度までねじるために必要な力の求め方などを理解し、2年次の『材料力学2』では梁を2点で支えて荷重をかけた場合の変形の求め方などを学びます。1年の頃に授業で学んだことをベースに2年に上がりますから、モノを設計・製作するための基礎が身につきます」。さらに3年次で学ぶ『設計製図』は、個々の学生ごとに与えられた数値をもとに重いモノを持ち上げる装置の設計図作成に取り組みます。

 「機械系学科は、幅広い業界へ就職できることが強み」と語る、川島 准教授。「卒業生の就職先は自動車、製鉄、製造、化学メーカー、プラントメーカーなど。なかには公務員になる人もいます。公務として様々な仕事がありますから需要があるんですよ。今の時代、どの業界も機械は必須。将来を決めかねている人は機械系の分野へ進んでおくと、将来の選択肢が広がると思います」