土木建築学科では、「社会を支えるインフラ」と「人の暮らしを彩る空間」、その両方を学べます。橋・道路・河川といった社会基盤から、建物のデザイン・構造・都市空間の計画まで、私たちの暮らしに関わるほぼすべてが、この分野のフィールドです。では、熊本において土木建築学を学ぶ意義とは何でしょうか。
熊本城をシンボルとして、加藤清正の時代から熊本の土木建築の技術は進化してきました。また、熊本は古くから豪雨災害や洪水との戦いを繰り返してきた地域です。県内には、災害から町を守るための先人の知恵が詰まった防災・減災の技術が今も残っています。一方、より近い記憶としては、過去10年以内に熊本地震、集中豪雨による土砂災害、球磨川の氾濫といった災害がありました。私たちは、これらの経験を記憶に留めるだけでなく、そこから土木建築学のイノベーションを創出していく使命があるはずです。なぜなら、世界中どこであっても、土木工学と建築学の目的は、人々が安心して暮らすことができる空間を創造することだからです。年々その力を増す自然災害を見据え、それに先んじた土木建築学が今まさに必要とされています。
土木の分野では、AIや気候変動対策、CO₂削減など時代の最前線のテーマに取り組みながら、地域の防災・復興・まちづくりにも実践的に関わることができます。建築の分野では、機能的であるだけでなく、美しく人が心地よく過ごせる空間をどう生み出すかを追求します。設計の基礎から建築史、構造、環境工学まで幅広く学び、自分たちの手で表現し発信する力を養います。どちらの分野にも共通しているのは、「なぜそれが必要か」を自分の頭で考える力を大切にしていることです。それが、時代が変わっても通用する土木エンジニア・プランナー・建築家の基盤になると信じているからです。こうした学びの環境に魅力を感じ、アジア地域から熊本大学に留学してくる学生も年々増えています。
本学科のもう一つの強みは、長い歴史と全国に広がる卒業生ネットワーク、そして活発な学生自主組織です。1年次から卒業生と直接話せる機会があり、「卒業後の自分」を具体的にイメージすることができます。さらに、3年次のインターンシップでは、多くの卒業生が来学し、公開情報では得られない現場の生きた情報を直接伝えてくださいます。加えて、建築系学生の自主企画「建築展」、土木系の「蘇遙会」、災害ボランティア組織「熊助組」といった学生組織が自主的・活発に活動し、自ら情報発信を続けています。
大学で過ごす時間は、知識を詰め込むだけの時間ではありません。学んだ知識を知恵に変える力を身につけ、仲間とともに熊本から世界につながる仕事をする自分をつくる時間であってほしいと思います。そして卒業するころには、皆さんも豊かな社会をつくるグローバル人材になっていることを信じています。