機械数理工学科

学科長の挨拶

機械数理工学科へようこそ

機械数理工学科学科長 森田 康之 

 

 近代文明は「機械文明」と称され、18世紀の産業革命以降、人類社会の近代化は機械の発達・普及に寄っており、それはすなわち機械工学に依拠していたと言っても過言ではありません。では私たちが生活する現在、機械工学は時代遅れの学問に成り下がったのでしょうか。その答えは、「否」です。昨今の環境、資源・エネルギー、人口などの地球規模の問題に対して、機械工学は果敢に挑戦し、それ自身の拡充と他分野との学際的融合を図り、地球スケールから原子・分子スケールまでカバーする、時代遅れどころか最先端かつ重要な工学フロンティアであり続けています。そして、現代のその複雑に絡み合った問題のモデル化と解決には、還元論的および全体論的方法論を駆使できる数理的知識および数理的センスが不可欠と言えます。そのような背景のもと、本学では既存の機械システム工学科と数理工学科が融合し、2018年に機械数理工学科が設立され、今年度で5年目を迎えることとなります。本学科のルーツは、1897年(明治30年)発足の第五高等学校工学部機械工学科で、120年以上もの歴史と伝統を誇っています。学科創立以来の卒業生は10、000人を超えており、産業界はもとより広く各界で活躍し、社会の発展に大きく貢献しています。

 工学の使命は、科学の共通課題である「社会のための科学・技術」への貢献であり、そのなかでも「人と社会を支える工学」として、環境的制約、資源的制約があるなか、安心・安全でかつ人々が豊かに感じられる持続的な社会を構築するための具体的な方策を提示していくことです。このような革新的イノベーションを要する創出には、多面的かつ総合的な領域である機械数理工学が主導的役割を果たし、学術的・技術的に貢献する人材を供給することが責務であると考えています。伝統のある我が熊本大学工学部機械数理工学科で、私たちとともに新たな科学的歴史の一ページを創っていきましょう。