佐藤 幸生 教授工学部半導体デバイス工学課程佐藤 幸生 教授

熊本大学工学部は、令和6年4月より、「半導体デバイス工学課程」を創設します。
でも、「”課程”ってなに?」「何を学べるところなの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事を読んで、「半導体デバイス工学課程」に詳しくなりましょう!!

「半導体デバイス工学課程」とは。

工学部には、既に「土木建築学科」「機械数理工学科」「情報電気工学科」「材料・応用化学科」の4学科があります。その”学科”が一つ増える、と考えてください。
なぜわざわざ「課程」という言い方になっているかというと、以下のような違いがあるからです。

★学科:一つの学問分野を集中的に学習する。
★課程:一つの応用分野に向けて必要なことを、学問分野を超えて学習する。

半導体デバイスをつくるためには、いろいろな分野…例えば、数学・物理・化学・材料・機械・電気・電子など…の知識が必要になります。それらを学ぶためには、いろいろな学科の授業を受けなければなりません。「半導体デバイス工学”課程”」という形にして、「各分野のいいとこどりをして、半導体について学ぼう!」というわけです。

ではなぜ今、半導体について専門的に学べる場が必要なのでしょうか。
実は、半導体は、身の回りのたくさんのものに使われています。皆さんがもっているスマートフォンや、ほぼ毎日使う家電製品、少し大型のものだと車など…。非常にたくさん必要なので、半導体の研究・開発ができる人も、たくさんいなければなりません。それで今回、「半導体について学べる場を作って、将来、半導体に関わりたい人を応援しよう!」ということで、半導体デバイス工学課程が創設されることとなりました。

どんなことが学べるの?

「工学」と言うからには、半導体に対して、「ものづくり」の面からアプローチすることになります。
一言でまとめると、「半導体デバイスってどうやって作るんだろう?」ということを学べる場所になります。

半導体デバイス工学課程では、数学・物理・化学・材料・機械など関連分野についての基礎知識を身に付けつつ、電気・電子など半導体デバイス製造・設計の中心的分野については深く学びます。
例えば、以下のような科目があります。
「半導体デバイスⅠ・Ⅱ」ではダイオード、トランジスタなどといった半導体デバイスの動作原理、
「半導体プロセスⅠ・Ⅱ」ではそれら半導体デバイスの製造技術およびその原理について学ぶ他、
「半導体工学実験Ⅰ・Ⅱ」、「半導体実習」、「産学連携PBL」では、実習を通じた体験に基づいて専門性を深めます。

大学内で半導体づくりに特化した知識を深めることと、実際の現場で働いている方を教員として呼んだり実際に現場に出向いたりして最新の現場を知ることを一緒に行えるのが、「半導体デバイス工学課程」です。半導体デバイスを作る過程全体を見渡しながら、実際の現場ではどのような力が必要なのか?を考えることが出来るよう、カリキュラムを組んでいます。
半導体に興味のある方はもちろん、数学・物理・化学・材料・機械…などいろいろなことに興味を持っている方も、その興味を「半導体デバイスのものづくり」に生かしてみませんか?

(左)半導体デバイスを光学顕微鏡で観察している様子。
(右)半導体デバイスに端針を当てて電気測定の準備をしている様子。