工学部長就任のご挨拶

工学部長井原 敏博 教授

 令和6年4月より熊本大学工学部長を拝命いたします井原敏博です。約130年の輝かしい歴史をもつ本工学部の新しい学部長として、いま身の引き締まる思いです。私は、教員組織としては今年度新設した「医工学部門」(本ニュースレターで諸岡教授が紹介されています)に属し、学部教育においてはおもに「材料・応用化学科」を担当しています。専門は、生命科学と化学が融合した学際領域である核酸化学、生命分析化学です。具体的には、合成したDNA、RNA、人工核酸などを使って診断や治療に役立てる研究を行っています。

 工学は国のGDPに直結し、産業を育て、国民の豊かな生活を支える基幹学問です。言い換えると社会の基盤技術、未来を拓くイノベーションの源泉であります。我が工学部からはすでに4万人を超える有為な人材が輩出しており、彼らは産官学の中核として国内外で活躍しています。熊本大学工学部に学ぶ学生諸君、保護者の方々の選択は正しいものと自信をもって申し上げます。

 本工学部の使命は、技術の進歩と社会のニーズに応え、持続可能な未来を築くために、今後も教育・研究の両面で卓越した成果をあげ続けることであります。高度成長後のグローバル化した現代社会においては、学生は専門知識の修得に加え、問題解決能力や創造性を養うことが要求されます。私たちは現実の複雑な課題に対処できる人材を育成し、社会に貢献できるよう、教育プログラムの充実に努めます。卒業後の進路に関しては、企業における研究開発、公務員、アカデミアなどに加え、今後は起業家の育成も積極的に支援してまいります。

 いま熊本市には多くの半導体関連企業が集積し、国内最大級の一大拠点を形成しつつあります。国家戦略の後押しを受け、熊本大学工学部は教育・研究環境をさらに充実させることができます。この千載一遇のタイミングに素晴らしい環境で皆さんと共に学び、成長できることを心より楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。