熊本大学院生、フランスで土木工学の新境地を開く

高野 大樹 准教授材土木建築学科高野 大樹 准教授

雄大なアルプスを望むフランス・グルノーブルで、熊本大学の技術が世界と出会う。熊本大学大学院自然科学教育部博士前期課程土木建築学専攻の宮坂芳樹さん(修士2年)が、文部科学省による官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」に採用され、グローバルな舞台で研究者としての新たな一歩を踏み出しています。

「トビタテ!留学JAPAN」は、次世代のグローバルリーダー育成を目指す国家的プロジェクトです。渡航費や滞在費が全面的に支援される本制度は、将来の日本を担う若手人材の登竜門として知られています。宮坂さんは、2023年9月から2024年8月までの1年間、フランスのグルノーブル・アルプ大学に留学し、現地の修士号取得という快挙を成し遂げました。

その道のりは、一つの出会いから始まりました。学部4年次、港湾空港技術研究所でのインターンシップ中に出会ったCyrille Couture博士との研究経験が、フランス留学への扉を開きました。「研究の面白さと、国際的な環境で学ぶことの価値を実感したのが、留学を決意したきっかけです」と宮坂さんは振り返ります。

グルノーブル・アルプ大学では、地盤工学の最先端研究に挑戦しています。3Dプリンタで作成した特殊な材料を用い、X線CTによる可視化技術を駆使して、土の中で起こる目に見えない現象の解明に取り組んでいます。この研究は、地盤災害の予測・防止や、より安全で効率的な土木構造物の設計・施工に革新をもたらす可能性を秘めています。

熊本大学では環境地盤工学研究室(椋木俊文教授・高野大樹准教授)に所属する宮坂さん。同研究室には中国、フランス、インドネシア、チェコからの留学生が在籍し、日々の研究活動が国際交流の場となっています。「研究室での日常的な英語コミュニケーションが、海外での研究生活の大きな自信になりました」と語ります。

グルノーブル・アルプ大学のGCER(Geomechanics, Civil Engineering and Risks)コースでは、世界各国から集まった学生たちと切磋琢磨しながら、専門性を高めています。研究の合間には、ヨーロッパ8カ国を訪れ、各地の文化や歴史に触れることで、研究者として、また一人の人間として大きく視野を広げました。

「熊本大学で培った技術力と国際感覚が、世界の最先端研究に挑戦する原動力となりました。後輩の皆さんにも、グローバルな視点を持って研究に取り組んでほしい」。宮坂さんからの力強いメッセージには、未来の研究者たちへの期待が込められています。

世界レベルの研究と国際交流が日常である熊本大学工学部。グローバルに活躍する技術者・研究者を目指す皆さん、ここから世界への第一歩を踏み出してみませんか。

  • 写真1:世界各国から集まった GCER コースの学生たちとの研究討議の様子
    写真1:世界各国から集まった GCER コースの学生たちとの研究討議の様子
  • 写真2:最先端の研究設備が整うグルノーブル・アルプ大学の研究指導教員との一枚
    写真2:最先端の研究設備が整うグルノーブル・アルプ大学の研究指導教員との一枚
  • 写真3:研究の合間に訪れたスウェーデンにて:異文化体験も研究者の糧に
    写真3:研究の合間に訪れたスウェーデンにて:異文化体験も研究者の糧に