工学部、大学院自然科学教育部の改組と関連する取り組み

工学部長井原 敏博 教授

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。工学部とその周辺の動向や進展についてご報告申し上げます。

 この一年で本学部の教育・研究の枠組みが大きく進化しました。R6年度に半導体分野に特化した日本で唯一の新しい学科相当の教育組織である半導体デバイス工学課程を設置したことは、その象徴的な出来事です。台湾の半導体ファウンドリー最大手であるTSMC(JASM)の熊本進出や、最先端半導体製造を目指したラピダスの北海道千歳市への建設などは、半導体産業における復権に掛ける我が国の強い思いを表しています。世界的半導体製造拠点となる熊本に位置する本学、特に工学部は、その期待に応え次世代の技術者を育成するために、半導体設計や製造プロセスの基礎から応用に至るまで、充実したカリキュラムを構築しました。

 また、大学院自然科学教育部においても改組を行い、R7年度には半導体・情報数理専攻がスタートします。この新専攻には学内外から多くの学生を集め(定員120名)情報・半導体産業を担う高度情報人材の育成を加速させます。また、現在、関連企業が利用可能なクリーンルームやオープンラボ(SOIL, Semiconductor open innovation laboratory)を擁する新棟を工学部内に建設中であり、ここを産学共同イノベーションの拠点として、より実践的な研究・教育を実践することができます。

 本学では多様性とインクルージョンを重要視しており、工学部においても女性教員の比率が増加したことを喜ばしく思っております。学術分野における多様な視点は、教育と研究の質を高める原動力であると確信しています。女性教員の増加は、本学部に新しい風を吹き込み、学生たちにも良い影響を与えると信じています。

 最後になりますが、これらの変化は、学生や教職員、そして地域や産業界の皆様のご支援とご協力によって実現したものです。この場を借りて、心より感謝申し上げます。工学部は今後も教育と研究の発展を追求し、社会に貢献する人材育成を目指して邁進します。引き続き、皆様のご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。